今日のAIニュース5選
AIモデルの競争は、質問への回答精度を比べるだけでは捉えにくくなっています。
新しいモデルは、長時間のコーディングや複数工程の業務を続ける能力を強化し、発表とほぼ同時に開発環境や課題管理ツールへ組み込まれています。画像生成も、静止画だけではなく、映像と音声を一つのモデルで扱う方向へ広がりました。
個人向けサービスでは、医療記録や活動量などの情報をAIへ接続し、自分の状況に沿った説明を受ける仕組みが提供され始めています。
その一方で、端末やサービスへ自動的に追加されるAI機能を止めたい人に向けて、「AIを避ける方法」を教える講座も注目されています。
今日の5本からは、AIへ任せられる仕事が増えるほど、どのサービスへ接続するのか、どこまで使わせるのか、使わない状態へ戻せるのかまで含めて設計する必要が高まっていることが見えてきます。
1. Anthropic、長時間の仕事を重視した「Claude Opus 5」を発表
Anthropicは、新しい高性能モデル「Claude Opus 5」を公開しました。
複雑なコーディング、ツールを使った複数工程の作業、専門的な知識業務を重視したモデルで、途中の確認や修正を繰り返しながら、長い作業を進める能力が強化されています。
API価格は、入力100万トークン当たり5ドル、出力100万トークン当たり25ドルで、前世代のOpus 4.8と同じです。通常より約2.5倍速く動作するFast modeも提供されますが、こちらは基本料金の2倍となります。
GitHubも同日、Claude Opus 5をGitHub Copilotへ追加しました。Copilot Pro+、Max、Business、Enterpriseを対象に、Visual Studio Code、Visual Studio、Copilot CLI、クラウドエージェント、GitHub Mobile、JetBrains、Xcodeなどへ段階的に提供されます。
新しいモデルが発表されても、利用者が別のサービスへ移動し、環境を一から整えるのでは普及に時間がかかります。今回は、普段使っている開発環境のモデル選択画面から利用できるため、既存の作業手順を変えずに試しやすくなっています。
モデル競争の焦点は、短い問題に正解できるかだけでなく、長い作業を安定して続けられるか、既存の仕事道具へすぐに組み込めるかへ移っています。
2. Linearの課題をGitHub Copilotへ割り当てる連携が正式提供
GitHubは、課題管理サービス「Linear」とCopilot cloud agentの連携機能を一般提供しました。
Linearに登録された課題をCopilotへ割り当てると、AIエージェントが内容を分析し、専用の一時的な開発環境でコードを変更して、ドラフトのプルリクエストを作成します。作業状況はLinear側へ送られ、完了後には人間へレビューを依頼します。
利用者は、課題ごとに使用するモデル、リポジトリ内のカスタムエージェント、作業対象のブランチを指定できます。AIが作業している途中に、Linearのコメントから追加の指示を与えることも可能です。
これまでのコーディングAIは、エディターを開いた人が質問し、表示されたコードを貼り付ける使い方が中心でした。今回の連携では、担当者へ仕事を割り振るのと同じように、課題管理ツールからAIへ作業を渡せます。
ただし、課題の内容が曖昧であれば、AIが作るコードも期待から外れやすくなります。目的、変更範囲、完了条件、触れてはいけない部分を課題へ記載し、生成されたプルリクエストを人が確認する流れは残ります。
AIエージェントが仕事を担うほど、人間の役割はコードを一行ずつ書くことから、仕事の条件を伝え、結果を確認し、採用を判断することへ変わっていきます。
3. FLUX 3、画像・動画・音声を一つのモデルで生成
ドイツのAI企業Black Forest Labsは、マルチモーダル生成モデル「FLUX 3」を発表しました。
FLUX 3は、画像、動画、音声を別々に処理するのではなく、一つの仕組みの中で同時に学習しています。文章から画像を作るだけでなく、最大20秒の音声付き動画を生成し、画像や既存の動画を参照して新しい映像へ変換できます。
動画では、文章からの生成、画像のアニメーション化、既存動画の雰囲気や人物を引き継いだ変換、複数の場面をつなぐ生成などが案内されています。映像内の会話、効果音、音楽も同じ処理の中で作られます。
提供は早期アクセスの段階です。動画と音声の機能から限定的に公開され、画像生成や編集についても段階的に利用範囲を広げる計画となっています。公開されている性能比較も開発途中の評価であり、一般提供後も同じ結果になるとは限りません。
これまで動画を作る場合、画像生成、動画化、音声、編集を別々のサービスで行い、ファイルを移動する必要がありました。一つのモデルで扱える範囲が広がれば、人物や雰囲気を保ちながら複数の素材を作る流れは簡単になります。
創作AIの競争は、きれいな一枚を生成する段階から、映像、音、場面のつながりをまとめて制作する基盤を作る段階へ進んでいます。
4. ChatGPT、医療記録やApple Healthを接続する健康機能を拡大
OpenAIは、ChatGPTの健康機能を米国の対象ユーザーへ拡大しました。
米国在住の18歳以上で、ChatGPTのFree、Go、Plus、Proを利用している人を対象に、WebとiOSで段階的に提供されます。日本で同じ機能が利用できると発表されたわけではありません。
利用者は、対応する医療機関の記録やApple Healthを接続し、検査結果、服薬情報、診療履歴、睡眠、活動量、運動などをまとめて確認できます。過去の検査値との変化を整理したり、診察前に医師へ確認する質問を作ったりする使い方が想定されています。
接続した医療記録やApple Healthの情報、それらを使った会話は、基盤モデルの学習や広告配信には利用しないとOpenAIは説明しています。情報を回答へ使う際の許可設定や、接続を解除する機能も用意されています。
健康相談は、同じ質問でも年齢、服薬、過去の検査結果によって確認すべき点が変わります。個人の情報へ接続できれば、毎回説明し直す負担を減らし、自分の状況に沿った質問をしやすくなります。
一方、記録が古い場合や情報が不足している場合もあり、ChatGPTの回答にも誤りは起こり得ます。診断や治療を置き換えるものではなく、情報を整理し、専門家との会話を助ける道具として使う必要があります。
汎用的なチャットAIは、誰にでも同じ情報を返すサービスから、本人が許可したデータを使って説明するサービスへ変わり始めています。
5. 図書館で「AIを避ける方法」を教える講座が注目
米国の一部図書館では、スマートフォンやパソコンに組み込まれたAI機能を無効化する方法を教える「Avoiding AI」と呼ばれる講座が開催されています。
講座では、Apple IntelligenceやGeminiなどの設定を確認し、使いたくない機能を停止する方法や、AIサービスへ送る情報を減らす方法が説明されています。
開催のきっかけになったのは、メールの文章作成や検索結果の要約など、利用者が求めていない場面にもAI機能が表示されることへの戸惑いでした。通常のパソコン講座より多くの申し込みが集まり、オンライン配信を含めて参加者が広がった例も報じられています。
これは、社会全体でAIを拒否する動きが始まったことを意味しません。参加者や図書館員の中にも、文書の読み取りや医療研究など、用途によってAIの価値を認める人がいます。
注目されているのは、AIを使う方法だけでなく、使わない方法もデジタルリテラシーとして必要になったことです。
便利な機能であっても、自動的に有効になり、停止方法が分かりにくければ、利用者は自分で選べないと感じます。AIを広く普及させる企業には、機能を増やすだけでなく、何をしているのかを説明し、簡単に止められる設計が求められます。
まとめ
今日の5本では、AIが単独のチャットサービスから、仕事や生活の中にある既存の道具へ深く入り始めています。
Claude Opus 5は、複雑で長時間の作業を重視し、発表と同時にGitHub Copilotなどの開発環境へ広がりました。Linearとの連携では、開発者がAIへ質問するだけでなく、課題を担当者のように割り当てる流れが整っています。
FLUX 3は、画像、動画、音声を一つのモデルで扱い、複数の制作工程をまとめようとしています。ChatGPTの健康機能では、本人が接続した医療や活動の記録を基に、個人の状況に沿った説明を受けられるようになりました。
その一方で、図書館の講座からは、AI機能を止めたいという需要も見えています。
AIの能力が高くなるだけでは、利用者に受け入れられるサービスにはなりません。どの仕事を任せるのか、どの情報へ接続するのか、誰が結果を確認するのか、必要がなくなったときに停止できるのかを選べることが重要です。
これからのAI競争では、できることの多さと同じくらい、利用者が使う範囲を自分で決められることが評価されていきます。
今日の注目アイテム

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公式情報・参照先
- https://www.anthropic.com/news/claude-opus-5
- https://github.blog/changelog/2026-07-24-claude-opus-5-is-now-available-in-github-copilot/
- https://github.blog/changelog/2026-07-23-copilot-cloud-agent-for-linear-is-now-generally-available/
- https://bfl.ai/blog/flux-3
- https://openai.com/index/health-in-chatgpt/
- https://techcrunch.com/2026/07/25/librarians-are-hosting-viral-avoiding-ai-workshops-for-people-who-are-fed-up-with-big-tech/

