Googleは2026年8月27日、Google Play Booksで購入した一部の電子書籍をGemini Notebookのソースとして使える「Expert Intelligence」を発表しました。
これまでGemini Notebookでは、PDF、Webサイト、YouTube、Googleドキュメントなどを自分で追加し、その資料を根拠に質問したり要約したりできました。Expert Intelligenceでは、購入した電子書籍そのものをアップロードし直さず、対応書籍をAIの情報源として追加できます。
ただし、Google Play Booksで買った本なら何でも使えるわけではありません。2026年9月10日時点では対象は一部の英語電子書籍で、出版社が機能を有効にした書籍に限られます。
この記事では、Expert Intelligenceで何ができるのか、対象書籍の確認方法、共有時の権限制御、日本語書籍の状況、従来のファイルアップロードとの違いまで整理します。
Expert Intelligenceは「購入した本をAIのソースにする」仕組み
Expert Intelligenceは、Googleが複数のAI製品へ広げようとしている、信頼できる有料コンテンツをAIで活用するための取り組みです。
最初の対応先がGemini NotebookとGoogle Play Booksです。
Google Play Booksで購入した対応書籍をGemini Notebookへ追加すると、その本を根拠に質問できます。回答にはソースへの引用が付き、通常のGemini Notebookと同じように、ほかの資料と組み合わせることもできます。
対応書籍から作れるものとして、Googleは次のような例を挙げています。
- 質問への回答
- Infographics
- Audio Overviews
- Quizzes
- 学習・要約用の各種成果物
単に本の要約を作るだけではありません。
たとえば、マネジメント本と自分の業務メモを同じノートブックへ入れ、「この状況なら本の考え方をどう適用できるか」と聞く使い方ができます。
Googleの発表時点では、Bloomsbury、Johns Hopkins University Press、Macmillan Publishers、O’Reilly Media、Penguin Random Houseなどを含む10万冊超が対応しています。

一番大きな特徴は「購入権限」とAI利用を結び付けたこと
Expert Intelligenceで重要なのは、電子書籍の内容をAIへ入れられることだけではありません。
その本を使う権限が、Google Play Booksでの購入状況と結び付いていることです。
書籍を含むGemini Notebookを別の人と共有しても、共有相手がその本を所有していなければ、相手は書籍の内容を利用できません。Googleは、共同編集者へ自分のコピーを購入するよう案内し、購入しない場合はその書籍をノートブック内で利用できない仕組みにしています。
つまり、
1人が本を購入 → ノートブックへ追加 → ノートブックを共有 → 全員が本を読める
という動きにはなりません。
共有されたノートブックと、書籍そのものを使う権利は分けて管理されます。
これはAIと出版コンテンツを組み合わせるうえで、かなり重要な設計です。本をファイルとしてコピーして配るのではなく、購入者本人がAIで本を活用できる範囲を広げる方向になっています。
対応書籍はGoogle Play Booksで確認する
Expert Intelligenceは、Google Play Booksのすべての電子書籍が対象ではありません。
2026年9月10日時点のGoogle Playヘルプでは、対象は一部の英語電子書籍です。
対応する可能性がある本には、Google Play Booksの商品詳細ページ付近に「Tools」バッジが表示されます。その中にGemini Notebookが表示されれば対象です。
すでに所有している本なら、ライブラリから書籍の詳細を開き、「Use with Gemini Notebook」が表示されるかでも確認できます。
書籍が対象外になる主な理由として、Googleは次を挙げています。
- 出版社が機能を有効にしていない
- 書籍の言語が対象外
- 書籍のフォーマットが対応していない
対応冊数は固定ではなく、今後変わります。
そのため、Expert Intelligenceを使う目的で本を買う場合は、購入前にその書籍が対応しているか確認するのが安全です。
日本語のGemini Notebookでも、現状は英語書籍中心
日本から使う場合は、「日本語の画面でPlay Booksが見えるか」と「日本語の本が対応しているか」を分けて考える必要があります。
ITmedia NEWSは2026年8月28日時点で、日本語環境のGemini NotebookにPlay Booksのソース追加項目が表示され、O’Reilly Mediaなどの対象書籍を確認できたと報じています。
一方、Google Playの公式ヘルプは対象を「Select English language ebooks」と説明しています。
つまり2026年9月10日時点では、日本語環境から機能へアクセスできる場合があっても、日本語電子書籍が広く対応しているとは確認できません。
特に日本語の技術書やビジネス書を使いたい場合は、今後の対応拡大を確認する必要があります。
実際に本を追加する手順
Google Playの公式ヘルプでは、Gemini Notebook側から次の流れで追加できます。
- Gemini Notebookを開く
- Google Play Booksで購入したアカウントと同じGoogleアカウントでログインする
- 新しいノートブックを作る
- 「Add sources」を選ぶ
- Google Play Booksを選ぶ
- 対応している書籍を選ぶ
- ソースとして追加する
対象外の本は、一覧へ表示されても選択できない場合があります。
また、自分でGoogle Play Booksへアップロードした書籍は、Play Books経由のExpert Intelligenceソースとしては使えません。Google Play Booksでの購入・対象判定と、ユーザー自身が持ち込んだファイルは別扱いです。
本だけでなく、自分の資料と組み合わせると価値が出る
Expert Intelligenceは、本1冊だけに質問する使い方でも役立ちますが、Gemini Notebookの特徴は複数のソースを同じテーマで扱えることです。
たとえば、
- マネジメント本+自分の1on1メモ
- 技術書+現在の設計資料
- マーケティング本+自分のブログ記事
- 学習書+自分の授業ノート
- 専門書+調査したWebページ
のように組み合わせられます。
本の内容だけを要約するのではなく、本の知識を自分の状況へ当てはめるための材料として使えるのが大きな違いです。

PDFをアップロードする方法とは何が違う?
Gemini Notebookは以前からPDFなどをソースにできます。
そのため、「電子書籍をPDFにして入れるのと同じでは?」と感じるかもしれません。
使い方だけを見れば似ていますが、Expert IntelligenceではGoogle Play Books側の購入権限が維持されます。
| 項目 | Expert Intelligence | 自分でファイルを追加 |
|---|---|---|
| 主な対象 | Google Play Booksの対応書籍 | 自分で用意したPDFなど |
| 追加方法 | 購入ライブラリから直接追加 | ファイルをアップロード |
| 書籍の対象判定 | 出版社・言語・形式などで制御 | 手元ファイルによる |
| 共有時の書籍権限 | 共有相手にも購入権限が必要 | ファイルと共有設定による |
| 元データ | Google Play Books側 | ユーザーが用意 |
Expert Intelligenceは、単にファイル投入を簡単にした機能ではありません。
出版社が許可した有料コンテンツを、購入者の権限を保ったままAIで使える仕組みと考える方が実態に近いです。
Kindleで買った本は直接使える?
2026年9月10日時点で、Expert Intelligenceとして直接追加できるのはGoogle Play Booksの対応書籍です。
Amazon Kindleで購入した本を、その購入権限のままGemini Notebookへ連携する仕組みはGoogleから発表されていません。
そのため、同じ本をKindleで所有していても、それだけでExpert Intelligenceの対象にはなりません。
紙の本や他社ストアで購入した電子書籍も同様です。
ここは現状の大きな制限ですが、Googleは今後、Expert IntelligenceをGeminiアプリやGoogle検索のAI Modeへ広げるほか、サードパーティーのサブスクリプション、ビジネス調査レポート、教科書などのソース追加も予定しています。
今後、Google Play Books以外の有料コンテンツへどこまで広がるかは注目点です。
NotebookLMからGemini Notebookへ変わった意味ともつながる
Gemini Notebookは、もともとNotebookLMとして提供されていたサービスです。
Googleは2026年7月16日、NotebookLMを「Gemini Notebook」へ改称しました。単独のリサーチツールという位置付けは維持しながら、GeminiアプリやGoogle検索などGoogle全体へ機能を広げる方針を示しています。
Expert Intelligenceもその流れの一つです。
これまでは、
自分で資料を集める → Notebookへ入れる → AIで読む
という使い方が中心でした。
今後は、
購入・契約している情報源 → 権限を確認 → そのままAIで使う
という形が増えていく可能性があります。
書籍だけでなく、有料レポートや専門情報サービスまで同じ考え方が広がれば、AIの情報源は「Web上で無料公開されている情報」だけではなくなります。
Expert Intelligenceを使う前に確認したい5点
現時点では、次の5点を確認してから使うと判断しやすくなります。
1. その本が対応しているか
Google Play Booksの商品詳細でToolsバッジやGemini Notebookの表示を確認します。
購入済みでも対象外の本はあります。
2. 書籍の言語
2026年9月10日時点の公式ヘルプでは、一部の英語電子書籍が対象です。
日本語書籍を前提にすると、対応状況がまだ大きな制約になります。
3. Googleアカウント
Gemini NotebookとGoogle Play Booksで同じアカウントを使う必要があります。
複数のGoogleアカウントを使い分けている場合は、どのアカウントで本を購入したか確認が必要です。
4. 共有相手も本を持っているか
書籍を含むノートブックを共有しても、購入権限まで共有されません。
チーム研修や授業で同じ本を使う場合は、参加者側の書籍購入も含めて考える必要があります。
5. 本単体ではなく何と組み合わせるか
Expert Intelligenceの価値は、本の要約だけではありません。
自分の資料、メモ、Web情報などと組み合わせることで、書籍の知識を実際の仕事や学習へ適用しやすくなります。
まとめ
Gemini NotebookのExpert Intelligenceは、Google Play Booksで購入した対応書籍を、AIの情報源として直接使える仕組みです。
2026年8月の開始時点で10万冊超が対応し、本を根拠に質問したり、Audio OverviewsやInfographics、Quizzesなどを作ったりできます。
ただし、2026年9月10日時点では対象が一部の英語電子書籍に限られ、すべての購入書籍が使えるわけではありません。
特に重要なのは、購入した人だけがその書籍をAIで利用でき、ノートブックを共有しても書籍の利用権限までは共有されないことです。
これは「本の内容をAIへ取り込む機能」というより、購入・契約した知識コンテンツを権利管理付きでAIへ接続する仕組みと見る方がよさそうです。
日本語書籍や他社の有料コンテンツまで対象が広がれば、電子書籍の読み方だけでなく、「買った知識をAIと一緒に使う」という活用方法が一般的になっていくかもしれません。

