今日のAIニュース5選
高性能なAIモデルを作る競争が続く一方で、その能力を誰が、どこで、何に使うのかという変化も加速しています。
中国のMoonshot AIは、2.8兆パラメータ規模とする「Kimi K3」を発表しました。Google Vidsでは利用者本人の姿と声を使った動画制作が可能になり、Robloxはスマートフォンからゲーム制作を始められるAI機能を発表しています。
仕事の場面では、NotionのAIエージェントが文章や情報を扱うだけでなく、予定の確認や会議調整まで行うようになりました。インドネシアでは、AIを利用した創作物の権利や、学習データを利用する企業の責任を定める法改正案が準備されています。
今日の5本からは、AIの性能向上がモデルの中だけにとどまらず、創作方法、仕事の進め方、著作権の考え方まで変え始めている流れが見えてきます。
1. Moonshot AI、2.8兆パラメータ規模の「Kimi K3」を発表
中国のAI企業Moonshot AIは、新しい大規模言語モデル「Kimi K3」を発表しました。
同社によると、モデル全体の規模は2.8兆パラメータで、高度な推論、長時間にわたるコーディング、知識を扱う業務向けに設計されています。最大100万トークンの長い文脈を扱えることも特徴です。
Kimi.com、業務向けのKimi Work、開発支援のKimi Code、APIで提供が始まり、オープンウェイト版は7月27日に公開する予定とされています。
オープンウェイトは、学習済みモデルの重みを入手し、自社環境で動かしたり、用途に合わせて調整したりできる形を指します。学習データや学習コードまで含めて公開するオープンソースとは、公開範囲が異なります。
Kimi K3は、Web画面の生成能力を評価する一部の第三者テストでも高い結果を記録しています。ただし、特定の評価項目で上位になったことが、文章作成、調査、コーディングなど、すべての用途で他のモデルを上回ることを意味するわけではありません。
2.8兆という規模も、そのまま性能の高さを保証する数字ではありません。モデルが大きいほど、自社環境で動かすために必要な計算設備や費用も増えます。
それでも、中国発のオープンウェイトモデルが、米国企業の最上位モデルと比較される位置まで進んだことは大きな変化です。
利用者や企業にとっては、OpenAI、Anthropic、Googleだけでなく、用途、料金、運用方法に合わせてモデルを選べる範囲が広がります。AI競争は、一つの企業が最高性能を争う形から、複数の地域と提供方式が並ぶ形へ進んでいます。
2. Google Vids、本人の姿と声を使ったAI動画制作に対応
Googleは、動画制作サービス「Google Vids」に、利用者本人を基にしたパーソナルアバターを追加しました。
利用者が自分の顔写真と短い音声を登録すると、本人に似た姿と声を持つデジタルアバターが作成されます。その後は、話してほしい文章を入力するだけで、アバターが代わりに説明する動画を生成できます。
毎回カメラを準備して撮影しなくても、社内向けの報告、研修動画、商品説明、短い案内動画などを作れるようになります。同じ内容を複数の言語や形式へ展開する場面でも活用が考えられます。
Google Vidsには、文章と参照画像を組み合わせて動画を生成する「Gemini Omni」も導入されました。生成した映像やスマートフォンで撮影した映像に対し、背景の変更、照明の補正、効果の追加などを、自然な言葉で順番に指示できます。
一度生成した動画を最初から作り直すのではなく、会話しながら段階的に修正できる点も、業務で使う動画制作には重要です。
本人の分身を作れる機能には、なりすましや誤解を招く動画へ使われる危険もあります。Googleは、アバターをGoogleアカウントの所有者本人の容姿に限定し、生成映像にはAIで作られたことを確認できるSynthIDを埋め込みます。
利用できるのは、対象地域にいる18歳以上の利用者に限られています。Google AI Pro、Ultraの加入者や、対象となるGoogle Workspaceの法人利用者向けの機能であり、すべての地域やアカウントですぐ使えるわけではありません。
AI動画は、架空の人物や映像を作る道具から、利用者自身の代わりに説明や発信を行う仕事の道具へ広がっています。
3. Roblox、スマートフォンからゲームを作れるAI機能「Build」を発表
Robloxは、モバイルアプリからAIを使ってゲーム制作を始められる新機能「Build」を発表しました。
利用者が「森を舞台にした冒険ゲームを作りたい」といった文章を入力すると、AIがゲームの基本部分を生成します。ゲームの仕組み、環境、キャラクター、見た目、音などを組み合わせ、遊べる状態の出発点を作ります。
生成された内容はそのまま完成品になるのではなく、利用者が試し、修正し、友人と共有しながら発展させることを想定しています。より細かい編集が必要になった場合は、従来の開発環境であるRoblox Studioへ引き継げます。
これまでゲーム制作を始めるには、パソコン、開発環境、プログラミングや3D制作の知識が必要でした。Buildによって、スマートフォンしか持っていない人や、ゲーム制作を学び始めたばかりの人も、自分のアイデアを動く形へ変えられます。
公開アルファテストは7月28日からニュージーランドで始まる予定です。年齢確認を受けた9歳以上が対象となり、世界へ作品を公開できるのは16歳以上とされています。基本機能は無料で提供し、より高度な機能には有料の選択肢も用意されます。
制作のハードルが下がれば、短時間で大量のゲームが作られる可能性もあります。似た内容や品質の低い作品が増えれば、利用者が遊びたい作品を見つけにくくなる問題も生じます。
Robloxは、AIで生成されたゲームも従来と同じ審査を行い、利用者が継続して遊んでいるかを基準とした仕組みで表示順位を決める方針です。
AIによって制作を始める人は増やせますが、面白い企画を考え、遊びやすく調整し、利用者の反応を見て改善する役割は残ります。AIはゲーム制作者を置き換えるというより、アイデアを最初の試作品へ変えるまでの距離を縮める道具になろうとしています。
4. NotionのAIエージェント、予定確認や会議調整まで対応
Notionは、AIエージェント向けの新しいカレンダー操作機能を公開しました。
チャットから今日の予定を確認するだけでなく、会議時間の変更、参加可能な時間の検索、招待の送信、日程調整用リンクの作成などを依頼できます。予定されているオンライン会議へ参加する操作にも対応します。
これまでの業務AIは、文章を作る、会議を要約する、保存された情報を探すといった、画面上で成果物を返す機能が中心でした。
カレンダー操作では、AIが情報を読むだけでなく、予定を変更し、関係者へ連絡し、次の行動まで進めます。AIエージェントが「相談に答える存在」から、「業務を進める担当者」に近づく変化です。
日程調整は一つひとつの作業は小さくても、参加者の空き時間を確認し、候補を提示し、変更内容を連絡するまでに何度も操作が必要です。AIへまとめて依頼できれば、利用者は会議の目的や参加者の判断に集中できます。
一方で、AIが予定を操作する場合は、どのカレンダーへアクセスできるのか、誰へ招待を送れるのか、変更前に確認を求めるのかといった権限設定が重要です。
誤った時間へ変更したり、不要な相手へ招待を送ったりすれば、文章の誤りよりも周囲への影響が大きくなります。便利さと同時に、操作履歴や承認方法を確認できる仕組みも必要です。
新しいカレンダー機能はデスクトップ版で提供され、モバイル対応は今後予定されています。業務用AIは、資料を作る機能から、予定や連絡を含む日常業務を動かす機能へ進んでいます。
5. インドネシア、AIを使った創作物の著作権を定める法改正案
インドネシアで、生成AIと著作権の関係を明確にするための法改正案が準備されています。
法案では、AIを補助的に使って作られた作品について、人間による十分な創作的関与が認められる場合は、利用者に著作権上の権利を与える内容が盛り込まれています。
人が指示を入力しただけで、ほかの創作的な作業を行っていない完全なAI生成物は、保護の対象から除外されます。ただし、どの程度の修正や判断を行えば「十分な関与」と認められるのかは、現在の案では明確になっていません。
法案には、AIを使って特定の創作者が持つ特徴的な作風を模倣する行為を禁じる内容や、作品へAIを使用したことを開示する義務も含まれています。
AI企業やプラットフォーム側には、ニュース記事の再掲載やリンクのプレビュー、AIの学習に著作物を利用する場合、権利者へ補償する仕組みも求められます。
対象には、文章や報道だけでなく、写真、映像、コンピュータープログラム、ゲームなども含まれます。違反した企業には、インドネシア国内での事業許可を取り消す可能性も盛り込まれています。
この法改正案はまだ成立しておらず、政府による意見募集や内容の調整が続いています。日本を含むほかの国へ同じ基準が適用されるものでもありません。
それでも、人間がAIをどのように使えば自分の作品として認められるのか、AI企業が学習データへどのような対価を支払うのかを、法律の条文として整理しようとしている点は注目できます。
AIを使う創作者が増えるほど、完成した作品の見た目だけでは、人間がどこまで関与したか分かりにくくなります。制作過程を残し、自分が行った判断や修正を説明できることも、創作活動の一部になっていきそうです。
まとめ
今日の5本からは、AIの性能向上が、新しいモデルの発表だけで終わらなくなっていることが分かります。
Kimi K3は、中国発のオープンウェイトモデルが、米国企業の最上位モデルと比較される規模と能力へ進んだことを示しています。企業や開発者は、性能だけでなく、価格、提供地域、自社運用の可否を含めてAIを選ぶようになります。
Google Vidsでは、自分の分身に説明を任せられるようになりました。RobloxのBuildでは、パソコンや専門知識がなくても、スマートフォンからゲーム制作を始められます。
NotionのAIエージェントは、文章や情報を扱う段階から、予定を変更し、会議を調整する段階へ進みました。AIが成果物を返すだけでなく、人の代わりに操作を進める場面が増えています。
インドネシアの法改正案では、AIを使った作品を誰の創作として扱うのか、学習に使われる著作物へ誰が対価を支払うのかが、具体的な制度として検討されています。
AIが作れるものと実行できる仕事が増えるほど、利用の入口は広がります。同時に、本人確認、操作権限、作品の品質、人間の関与、著作権といった条件も整えなければなりません。
AIの進歩を測る基準は、モデルがどれだけ賢いかだけではなくなっています。誰が使えるのか、何を任せられるのか、作られたものを誰の権利として扱うのかまで含めて、AIを社会へ組み込む仕組みが作られ始めています。
今日の注目アイテム

Logicool G G304 LIGHTSPEEDは、ワイヤレスのゲーミングマウスを手軽に取り入れたい人に選びやすそうなアイテム。
ゲーム用だけでなく、デスク周りをすっきり整えたい場面でも候補に入れやすそうです。

Logicool G G703h LIGHTSPEEDは、握りやすさを意識したワイヤレスゲーミングマウスを探している人に選びやすそうなアイテム。
ゲーム用のマウスを日常のPC作業にも使いたい場面でも、候補に入れやすそうです。

Logicool G PRO 2 LIGHTSPEEDは、ゲーム用の操作感にこだわりたい人に選びやすそうなワイヤレスマウス。
普段のデスク環境を少し上位寄りに整えたい場面でも、候補に入れやすそうです。
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公式情報・参照先
- https://www.reuters.com/world/china/chinas-moonshot-unveils-worlds-largest-open-ai-model-closing-us-rivals-2026-07-17/
- https://x.com/Kimi_Moonshot/status/2077830229968683203
- https://blog.google/products-and-platforms/products/workspace/gemini-omni-personal-avatars/
- https://about.roblox.com/newsroom/2026/07/build-without-limits-on-roblox
- https://www.notion.com/releases/2026-07-16
- https://www.reuters.com/legal/litigation/indonesias-copyright-rewrite-puts-google-ai-platforms-notice-2026-07-17/

